24日に開かれ結審した在沖米陸軍パトリオット・ミサイル(PAC3)部隊所属のロナルド・ホプストック伍長の軍事法廷は、検察側と弁護側の「事前合意」が成立、女性暴行罪は認められなかった。昨年5月に本誌インタビューで大粒の涙をこぼしながら「真実を知ってほしい」と被害を訴えたフィリピン人女性の気持ちは踏みにじられた。同じように米兵から暴行を受けた女性や、県内の関係団体からは、犯罪を裁けない日本政府の責任を追及する声が上がっている。(中略)
基地軍隊を許さない行動する女たちの会共同代表の
糸数慶子参議院議員は「性暴力の加害者には寛大で、被害者に弱い立場を強いている現状が見え、性暴力の責任を被害者に転嫁している。基地がなければ軍人が闊歩(かっぽ)することもない。この事件は基地あるが故の事件。日本の法廷で裁けない矛盾を残念に思う」と話した。
米軍人・軍属による事件被害者の会のメンバーの池宮城紀夫弁護士は、被害者が暴行されたと訴えている点に言及。「訴えを不問に付して、事実上の司法取引をしたというのは、被害者の気持ちにかなったことなのか疑問だ」と指摘した。処分内容についても「禁固6ヵ月は軽い気がする。今後も暴行事件が起きない保証もないし、こんな軽い刑には納得いかない。厳正に処罰すべきだ」と批判した。
※「琉球新報」2009年2月24日付け夕刊に掲載