1月に沖縄市内で起きた交通死亡事故で、自動車運転過失致死罪で送検された在沖米空軍軍属の男性(23)が、日米地位協定の「公務中」の犯罪を理由に不起訴となった問題で、
糸数慶子参院議員が2日、亡くなった会社員男性の母親らと那覇市内で意見交換、同協定の改定を求める超党派国会議員の集会や県民集会の開催を提案した。
会合には糸数議員のほか、同事故で亡くなった與儀功貴さん=当時(19)=の母、神谷真奈美さん(41)や池宮城紀夫弁護士らが出席。神谷さんは、糸数議員の提案に「できる限り協力したい」と話し、集会などに参加する意向を示した。糸数議員は、週明けにも超党派の沖縄等米軍基地問題議員懇談会で提案するとした。
会合では、県議会に対して同協定改定の決議を求める要請や県内での集会開催に向け幅広く参加を呼び掛けることなども確認した。
同協定では、公務中の犯罪は米側に第1次裁判権があり、原則、日本側に裁く権利がない。神谷さんによると、同事故では軍属男性が職場からの帰宅途中で公務中とされ、那覇地検が不起訴にしたという。神谷さんは「賠償が問題ではない。日本で起こした犯罪を日本で裁けないのは許せない。外国人を守る協定だ」と、同協定の矛盾を訴えた。
池宮城弁護士は「公務中の判断を厳密にする必要がある。不起訴になった人間が、米国でどういう刑事罰を受けたか、遺族に知らせるシステムもない」と指摘した。
糸数議員は、業務上過失致死傷罪で送検された米軍人軍属などの起訴率が、2008~10年(10年は暫定値)の那覇地検管内では5・3%という法務省の資料を示し、「起訴率が低い。起訴していないのと同じだ」などと批判した。
※「沖縄タイムス」 2011 年 4 月 3 日付けに掲載