普天間 固定を懸念 県外移設 模索期待
沖縄の米海兵隊がグアムへ移転する費用を米議会は認めなかった。「グアム移転」と一体にされる普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の「県内移設」に反対する沖縄にとって、吉と出るのか凶とでるのか。県内での見方は割れている。
「在日米軍再編のロードマップを根幹から見直すチャンスだ。もう辺野古移設は不可能だ」。日米地位協定の改定を求めて、外務省を 13 日に訪ねた沖縄県選出の
糸数慶子参院議員はそう語った。「米国がスタンスを変えているのだから、日本も変わらないとおかしい」
県のある幹部も「新たな移設先を模索するのが日米両政府の責務」と普天間問題の打開へ期待を示した。
一方で、米議会の決定を「危険なシグナルだ」と心配する声も県庁内にある。
沖縄の米軍再編はロードマップで「相互に結びついている」とされ、グアム移転の頓挫は、県が避けたい普天間の固定化や県中南部の基地返還取りやめにつなげられてしまう恐れもあるからだ。又吉進・知事公室長は「ロードマップや(マケイン上院議員らが提案する)嘉手納統合案が今後どう扱われるか。現段階で見通せない」と慎重だ。
米議会はグアム移転費の凍結を解除する条件に普天間移設計画の進展も求めている。「だから辺野古への移設を急がねばならないと、沖縄への圧力が今後高まるだろう」と佐藤学・沖縄国際大教授はみる。しかし、「米国では赤字削減議論の中で海兵隊の役割も見直されている。貢ぎ物のように日本政府が辺野古を差し出しても、基地ができた時に今の規模の海兵隊が沖縄にいる保証はない」と語る。
※「朝日新聞」 2011 年 12 月 14 日 朝刊 36 ページ 西部本社