沖縄子どもを守る女性ネットワーク(糸数慶子共同代表ら)は22日、那覇市の県男女共同参画センターてぃるるで「戦後史の正体」を出版した元外交官の孫崎享さんを招き、講演会を開いた。著書の内容と同様に、日本の自主外交路線と対米従属の観点から、日米同盟の歴史をひもといた。普天間飛行場の移設問題では「どう米国と対じしていくか根本が問われている」とし、対米従属傾向が強まっている現状を懸念した。 孫崎さんは、米国のヘリテージ財団が昨年11月にまとめたリポートで、尖閣問題で悪化した国民感情や安倍晋三首相の保守的な考えを、米国が同盟深化に利用するよう提言している点を紹介。防衛費増大や集団自衛権の柔軟解釈など、米国が望む方向に政府が動いており「対米追従がより強くなっている」と指摘した。 一方、尖閣問題では、中国との間で領有権問題を棚上げした過去の交渉のいきさつを日本側が否定していることに「何のために事実をゆがめているのか」と批判。「棚上げが沈静化につながる。棚上げをやめて緊張すれば喜ぶのは誰か」などと話し、日中の緊張が米側の利益になることを示唆した。 重光葵元外相ら自主路線の政治家が、ことごとく失脚していった歴史にも触れ「米にもの申す政治家を日本人自身が葬ってきたのは情けない」と述べ、前例踏襲で新たな考えを排除する傾向に危機感を示した。 ※「沖縄タイムス」2013年2月23日付けに掲載 「対峙姿勢が重要」 孫崎氏が講演会 米追随の在り方問う 外務省国際情報局長や防衛大学校教授を務めた孫崎享氏の講演会「戦後史の正体」(主催・実行委員会、沖縄子どもを守る女性ネットワーク)が22日、那覇市の県男女共同参画センターてぃるるで開かれた。孫崎氏は米軍普天間飛行場の移設問題やオスプレイ配備に触れ、米国に追随する日本政府の在り方を問い掛けた。約450人が聞き入った。 普天間問題について「多くの沖縄の人にとっては騒音や安全の問題だが、日本と米国の安全保障の根本の問題。私たちが米国とどう対峙していくかが非常に重要だ」と強調した。 日米関係の歴史を振り返り「日本の多くの人が思っている以上に米国にもの申す政治家がいた。だが、その政治家を葬るのは日本人自身。日本の国、政府が基本的には米国の国益を推進するグループになっており、米国の動きと違ったアイデアを持っている人たちを滅ぼしていく」と訴えた。 日本のナショナリズムをあおる尖閣問題は、米国に都合のいいように利用されていると指摘。中国の台頭を挙げ「世界の中心は東アジアに移ると思う。中国、日本、台湾、香港、韓国、この地域はこれからとても重要になってくる。その中心に沖縄があり、実質的に関係強化の核になっていくと思う」と述べた。 ※「琉球新報」2013年2月25日付けに掲載
by itokazu-keiko
| 2013-02-23 10:02
| 報道
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