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糸数けいこの活動日誌
by itokazu-keiko
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家族政策の歴史・女性の権利を学ぶ-フランス視察②

家族政策の歴史・女性の権利を学ぶ-フランス視察②_f0150886_18474657.jpg
   INED(国立人口研究所)の担当者の方と。

○第二部 
 午後遅くに駆け足で訪れたのはINED(国立人口研究所)です。フランス社会問題省に属しており、フランスのみならずEUや世界各国と連携しながら人口に関する研究をしている機関です。フランスで、なぜ出生率が改善されたのか、そして女性のワーク・ライフ・バランスへの取組はどうなっているのかを伺いました。

 出生率増加の理由として、あげられたのはふたつ。まずフランス人は子どもをもつことに抵抗がない、子どもは持つべきもの、として考えられていること。それから20世紀初頭から続く寛容な家族政策。フランスの家族政策は、社会の変容に合わせて変わってきており、1970年代までは、子どもの数の多い家庭(3人以上)への支援が主で、家族手当や税控除などがありました。出生率増加のために、フランスでは少なくとも3人の子どもを持つことが推奨されていたわけです。ところが1970年代の終わりから80年代にかけて、社会が変化し、フランスでは女性の「仕事と出産の両立」という問題が話題に上るようになってきました。働く母親への支援策の必要性が叫ばれ1985年に育児休暇を導入し、子どもを他所に預けるための支援策が出てきたということです。

 フランス家族政策の面白い点は、男女平等と女性の社会的活躍を第一に掲げるフェミニストたちと伝統的な家族の形態を大事にする人々とのせめぎ合いのなかで変化してきていることです。そのために、フランスでは第一子の誕生からたくさんの支援を行うのではなく、第2子までは母親が仕事と家庭を両立できるような支援を行ってなるべく女性をキャリアから遠ざけないように配慮し、第3子以降は大幅な支援策に切り替え、家計を助けることを政策として掲げています。つまり、子どもを持つことによるキャリアの中断リスクを低くするとともに、子どもを多く持ち、お母さんは家にいる、という伝統的な家庭の在り方も尊重することに成功しているわけです。また、フランスにおける家族の在り方は様々で、それを法的にも社会的にも認めるだけの寛容さがフランス人にはある、ということにも着目できます。

家族政策の歴史・女性の権利を学ぶ-フランス視察②_f0150886_18501028.jpg
   女性の権利省でのインタビュー

 9月24日(火)-女性の権利省を訪問

 女性の権利省は、機関としてはフランスでははじめてのものではないようですが、きちんと省庁として設立されたのは今回のオランド大統領下がはじめて、とのことです。女性の権利は大分認められている国のように感じますが、フランスでは「まだまだ」と考えられているようです。
 今回の視察で「パリテ(男女同数)法」に関しては少々驚きました。日本では、男女平等や共同参画を謳うときに出てくるのが「クオータ制」。例えば国会などで議席の○○%は女性に割り当てましょう、ということなのですが、フランスは「パリテ」、男女半々にしましょう、というわけです。実際、元老院議員選挙の比例代表候補者リストでは男女候補者を交互に載せること、小選挙区制の国民議会選挙では政党や政治団体の候補者を全国で男女同数とすることを定めています。確かに、規則を破る政党なども存在し、議会で男女数の差はまだあるようですが、それを縮める努力をしていることは大変評価できます。また、オランド大統領の内閣は公約通り「パリテ」、男女同数です。日本でもそういった努力は必要だと感じました。
家族政策の歴史・女性の権利を学ぶ-フランス視察②_f0150886_18505655.jpg
  女性の権利省で担当者の方と。 

by itokazu-keiko | 2013-10-09 18:45 | フォトレポート
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