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参議院議員 糸数慶子
4月―沖縄では心地よい風の吹く「うりずん」の季節。初夏の日差しのなか、植物がぐんぐん成長していく喜びの季節です。しかし1945年の沖縄には、心地よい風が吹くどころか、吹いたのは「鉄の暴風」でした。1945年4月1日、米軍は沖縄本島に上陸を開始しました。圧倒的な戦闘力をもった米軍の上陸に、日本軍は何ら抵抗しませんでした。米軍の無血上陸です。あまりのあっけなさに米軍兵たちは「エイプリルフールだ」と叫んだという逸話が残っているほどです。日本軍が無血上陸を許したのは、沖縄で地上戦を展開し、米軍の本土上陸を一日でも遅らせるためでした。つまり沖縄は本土防衛のための「捨て石」となり、そのために県民は80日間余にわたり地獄をさまよい、4人に1人が命を落とすこととなったのです。そしてこの戦争の傷跡は、70年を経た今も県民の心を苦しめています。牛島中将の自決により沖縄戦の組織的な戦闘が終わった6月23日は県民にとって、ある意味8月15日よりも重い日なのです。 2014年沖縄では1月の名護市長選を皮切りに、名護市議選、知事選、衆院選と、すべての選挙で辺野古新基地建設反対の候補者が完勝しました。沖縄県民は、軍隊は住民を守らないこと、そして基地の存在によって子孫がどれだけ苦しむかということを、身を持って知っているのです。「沖縄にこれ以上の基地はいらない」―これが沖縄県民の祈りにも似た思いです。ところが安倍政権はこのような県民の思いを一切顧みることなく、辺野古新基地建設を強行し、非暴力の運動を暴力で排除しています。そして「沖縄に寄り添う」と言いながら翁長知事との面会を拒否し続けています。 そもそも沖縄の基地問題は日本の安全保障の問題であり、日本全体の問題であることを日本人は理解しているでしょうか。そして戦後70年もの間、沖縄に犠牲を強いていることを自覚しているでしょうか。本土防衛のための捨て石となって県民の4人に1人が亡くなった沖縄戦、国体護持のために米軍へ沖縄を割譲したこと。米軍機の爆音、環境汚染、米軍人・軍属による事件、事故。沖縄を苦しめ続ける問題の数々は、日本全体の問題です。しかしながら安倍政権はそれらの問題を解決する様子も見せません。また一部を除いたメディアにも問題があります。沖縄の現状を、そして県民の切実な思いを全国へ報道しないのです。今、日本の民主主義は戦前まで後退した感すら漂っています。そのようななかで、安倍政権はますます強権的な傾向を強め、改憲の動きが活発化しています。「平和憲法」と称される素晴らしい憲法が改定され、日本が「戦争する国」になってしまうことだけは何としても避けなければなりません。戦争で傷つくのは、戦争を始める国や軍隊のトップではなく、一般の市民であり、何の罪もない子どもたちなのです。戦争は何も生み出さない。他国と戦争せず協力しあってこそ国際社会のなかでの影響力は増すのです。今こそ、この思いの下に国民がまとまり、改憲反対の輪を広げていくときです。(いとかず けいこ) ※平和を実現するキリスト者ネット「ニュースレター」No.155 2015年4月10日発行
by itokazu-keiko
| 2015-04-11 13:22
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